• 公開:2020年04月08日
  • 更新:2022年02月25日

葬儀業界の既成概念にとられないオープンイノベーション――中小企業の再成長を促した”共創”戦略に迫る

株式会社CSCサービス

株式会社CSCサービス
  • 食品加工
  • 介護
  • 葬儀
  • 少子高齢化
  • 出資したい
  • プロダクト(製品)共同開発
  • 共同研究
  • リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
  • 事業提携
  • ジョイントベンチャー設立
  • 買収したい
  • 6カ月以内の提携希望

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日本企業の99%以上を占めるとも言われる中小企業。近年、ビジネス環境の急激な変化によって多くの中小企業が経営課題を抱えている一方で、世界的にも優れた技術やサービスを有する中小企業が他社と共にオープンイノベーションを推進することで、事業の飛躍的な再成長が見込めるとも考えられます。

そこで、eiiconでマッチングを実現した企業に、マッチング後の取り組みとその後のプロセスや、今後の展望などをインタビューし、中小企業のオープンイノベーションを促すヒントを探ります。

今回取り上げるのは、関西を拠点に湯灌納棺を中心とした葬儀事業を全国展開する株式会社CSCサービス。1989年8月に設立し、業界内でもいち早く湯灌サービスを提供したパイオニアとして知られる。セレモニー事業をメインに飲食事業や介護福祉事業を展開するCSCサービスが取り組む共創戦略とは?――2019年にCSCサービスにジョインし、新規事業を担当する原中氏にお聞きしました。

■株式会社CSCサービス東京事業本部 企画開発 マネージャー 原中直樹氏

小売業などで新規事業などを手がけ、2019年CSCサービスに中途入社。葬儀業界は未経験ながらも、新規事業開発担当として活躍している。

業界の慣習にとらわれず葬儀ビジネスにイノベーションを起こす

──まずは、葬儀事業を中心に手がける御社を取り巻く環境の変化について教えてください。

原中氏 : 業界自体は伸びていて、我々も創業以来増益増収を達成しています。ただし、足元を見たときに伸び悩みを感じているのが現状です。

理由は二つあります。一つは葬儀に対する価値観が多様化していること。昔は兄弟が多かったけれど、今は一人っ子が増えている。親戚のつながりもだんだん薄くなり、葬儀も近親者のみで行う家族葬が増えています。参列者も平均20人程度ですね。

したがって葬儀費用の単価も低下傾向です。人口動向からみると死亡人口は上がりますが、やがて限界がきます。そこで、会社の経営体力がしっかりしているうちに新規事業を立ち上げておきたいという意図がありました。

もう一つは業界に対して新しい風を吹き込みたいという思いです。葬儀業界は昔からの慣習が残っていて、新たな領域に踏み込みにくい空気がありました。私のように他社から転職してした側からすると、非常にもどかしかった。新規事業を立ち上げるなら自社だけでなく外部の企業から新しい知恵を入れて、葬儀業界にイノベーションをおこしたいと考えてeiiconに登録しました。

──外部の企業を探すために、なぜeiiconを選ばれたのでしょうか?きっかけがあれば教えてください。

原中氏 : 新規事業創出のアプローチには3つの方法があると思っています。一つは産学連携。二つ目は新規事業に適した会社をM&Aすること。三つ目は経験や技術を有する会社と組んで共創すること。その3点を視野に入れてリサーチしているときに偶然eiiconを見つけました。2019年4月頃ですね。

他社に模倣されない新規ビジネスを立ち上げるには

──新規事業を立案するとき、どのような目標を設定しましたか。

原中氏 : 会社からのミッションは「本業の延長線上にないビジネス」ということだけでした。自由な反面、制約もないので最初の1〜2ヶ月はどこから手をつけていいか暗中模索でしたね。

けれど「他社にキャッチアップされない」点はずっと意識してきました。新規事業を立ち上げても同業他社にやすやすと模倣されては本末転倒です。このとき、独自の技術があれば他社に模倣されにくい。ならば高度な技術や独自の知見を持ったスタートアップと共創する事業にしようと徐々に軸足が固まっていきました。

──具体的にはどんな企業と出会いがあったのでしょうか?

原中氏 : スタートアップに焦点を絞っていたときに出会ったのが、新潟にある株式会社プラントフォームという会社です。同社は、水産養殖と水耕栽培を融合させた「アクアポニックス」という技術を持っています。これは、魚と植物を同じ循環システムの中で育て同時に収穫することができる、全く新しい農業を実現できる技術です。

──なぜ、農業・漁業といった産業に目を向けたのでしょう。

原中氏 : 農業や漁業のような一次産業は、労働人口が減っているうえに高齢化が加速し、就労者の半数以上が70代と言われています。労働人口不足の課題を技術で解決できるのではと思ったことが理由の一つ目です。また、後発企業がイノベーションを起こすことで業界構造を変えていけるのではと直感したことが二つ目の理由ですね。

──社内に提案した時のリアクションはいかがでしたか。

原中氏 : 周りはびっくりしていましたね(笑)。わたしが入社する前も新規事業の取り組みはあったそうですが、難しかった。飲食業やサービス業など参入障壁が低いとこに行きがちですが、模倣もされやすい。既存の考えにとらわれていては、本当の意味でのイノベーションは起こせないのではと思います。

──以前のインタビューでは、eiiconを通じてマッチングした企業とすでに共創が進んでいるとお聞きしました。その後の進捗はいかがですか?

原中氏 : 介護杖、車いす、空気清浄器、抗菌消臭剤を製造するメーカー、インターリンクスさんと共同で商品開発を進めており、2019年末、ご遺体に対して消臭効果を発揮するサービスをリリースすることができました。さっそく、新規のお客様からご契約をいただき、良い感触を得ています。

このサービスは、当社が持つ遺体保全の消臭能力と、インターリンクスさんがサンプル製作した異臭を抑える溶液とを組み合わせ、試行・データ検証し、高い消臭効果が得られたことから、商品化することに成功しました(以下画像参照)。

わたしたちとしてはサービス自体の性能向上、インターリンクスさんにとっては新商品開発及び市場開拓となり、お互いにwin-winの関係を築くことができたと思います。今後はユーザー企業の声を聞きながら、葬儀業界ではない市場に向けて、新商品開発と市場開拓を進めていくつもりです。

自分たちの思いを熱量高くオープンに伝える

──eiiconを活用して共創につながる企業とマッチングできたポイントはなんでしょうか?

原中氏 : 私たちの思いを募集ページに詳細に記載しました。「何に課題意識を持っていて、何を一緒に成し遂げたいか。企業に対してどんな期待をしているか」を明確に伝えることで、応募企業からの提案も明確でした。

──「やりたいこと」を具体的に記載するのがポイントだということですね。

原中氏 : 丁寧に記載するぶん自分たちの熱量が伝わりやすい。自分たちの思いをオープンにすることが他社と組む点でもポイントになると思います。

──他社との共創によって新たなサービスを生み出すことができました。社内の反応はいかがですか?

原中氏 : すこしずつ盛り上がってきていると思います。ひとつプロダクトができると社内も前向きになります。葬儀業界は新しいことには後ろ向きな風潮があるので、我々のような共創の取り組みは業界の中でも特異なケースではないでしょうか。でも、流れを変えるのは自分たちの行動次第。業界にとってもいい先行事例になると期待しています。

中小企業の強みを活かしてチャレンジし続けることが成功へのカギ

──ひとつ成功事例ができると新規事業への機運も追い風になる。それは原中さんご自身過去の経験から得たことなのでしょうか。

原中氏 : そうですね。前職は小売業でしたが比較的保守的な業界でした。商習慣も独特。人はどうしても通り慣れた道を歩きたがります。「知らない道を進んだら行き止まりかもしれない」と新規事業をリスクと捉える人も多いです。

でも、チャレンジして一つでも成果が出たら、周りの反応も少しずつ変わってきます。無理に説得するよりも、少しずつ成果を出して結果を示すことでマインドを変えていけると前職で学びました。

──反対に、しないように心がけていることはありますか?

原中氏 : 色眼鏡でみないこと、フィルターをかけないこと、否定しないこと。その3つは意識してきました。説得するのではなく、話し合って意見をぶつけ合う。建設的な議論を心がけています。

──中小企業ならではのイノベーション。今後も実現していきたいとお考えですか?

原中氏 : 中小企業の良さは、会社の規模的に小回りが効くことです。組織的にも決済が取りやすく機動力がある。初めの一歩を踏み出すにはチャレンジが必要ですが、あとは場数を踏むことが必要ではないでしょうか。何度もチャレンジすることで成功の可能性が増えます。まずは行動して場数を踏む。最初に申し上げた新規事業はまだまだ実現まで時間がかかりますが、今の会社には動きやすい体制が整っていると感じます。

──それでは最後に今後の展望をお聞かせください。

原中氏 : 自社の既存事業は業界的に新サービスが生まれにくく、イノベーションが起きていません。競業他社もほぼ同じ状況なのではと思います。商品開発もほぼOEM で横並びです。産学連携やeiiocnを活用することで、まったく違う形のプロダクトを生み出していきたいですね。

働いているとどうしても自社や業界内の価値観にとらわれがちです。他社と出会うと知らない情報や新鮮な価値観を知ることができる。eiiconを使うだけでも、自社にないアイデアやインスピレーションを得られるので、非常に役立っています。

▲関西を軸に事業を展開しているCSCサービスだが、新規事業は東京のオフィスを拠点に手がけている。原中氏を含め、複数のメンバーで連携し、事業開発を推進している。

編集後記

人口構成の変化に伴い、2040年頃まで死亡者数が増加すると予測される一方、参入業者の増加や葬儀に対する価値観の多様化から葬儀単価が低下傾向にある葬儀業界。CSCサービスは業界の慣習にとらわれない新規事業を模索した結果、既存ビジネスにも応用可能なプロダクトを誕生させている。

大企業に比べて、個人の裁量が大きくスピーディな意思決定が可能な点は中小企業の強みだと言える。競争が加速する時代だからこそ、強みを活かして他社に先駆けた一手を打つことで、業界全体のイノベーションを喚起する効果を期待したい。

(編集:眞田幸剛、取材・文:星久美子、撮影:加藤武俊)


選択しているビジネス領域の企業

FORT MARKET (株式会社なかむら商会)

FORT MARKET(フォートマーケット) は、「カフェ&バー」、「ベーカリー&スイーツ」、多業種対応の「キッチン」まで、それぞれの特徴を持った3つの店舗が開業できるフードホールです。「自分のお店を開いてみたい」という食の作り手なら誰でも低リスクで飲食店にチャレンジできる環境と設備をご用意しています。 特徴1:すぐにはじめられます。厨房機器やPOSレジなどお店に必要な基本装備は揃っています 特徴2:保証金や敷金、初期費用などは必要ありません。お店と時間帯を選んでシンプルな月額料金でスタートできます 特徴3:飲食店に必要な食材や消耗品の調達に便利な三軒茶屋。近辺の警察署、消防署、郵便局の職員や大学の先生、生徒さんが足を運んでくれます 特徴4:独立開業に向けた集客・メニュー開発・オペレーション・原価計算などプレマーケティングの場だけではなく、創業支援として事業計画の構築や融資相談のコンサルなどもご提供します 副業・複業で飲食店をやってみたい個人の方々から、多角経営で飲食ビジネスを始めたい企業様まで、低リスクでシミュレーションできる場を提供することで、開業支援を行っています。 また、限られたスペースをチャレンジショップとして立ち上げ・運営するノウハウをいろんな地域で活かしていきたいと考えています。 食事をしに人が集まってくる。美味しい料理を囲んで会話が自然とはずむ。食事には人と人をつなげる力があります。そして、人が集うことで賑わいがうまれ、その地域が明るく元気になります。わたしたちは、こんな人や地域に活力を与えるお店を増やすためにFORT MARKETを作りました。

  • プロダクト(製品)共同開発
  • 販売パートナー募集(チャネル拡大・エンゲージメント向上)
  • 事業提携
  • プロジェクト・イベント型(期間限定)での協業
  • 新市場の模索
  • 中小企業
  • スタートアップ
FORT MARKET (株式会社なかむら商会)

株式会社 北陸フードシステムズ

株式会社北陸フードシステムズは、平成14年4月の設立以降、みんなが笑顔になる心地いい場所=”第3の居場所(サードプレイス)”の提供を目指し、飲食事業やネットカフェ事業に参入しています。 そして食と物を通じて、皆様の生活をより楽しく充実したものにするべく、各事業を展開中です。 弊社が考える第3の居場所とは、自宅や職場に次ぐ、自分らしく心地よくいられる空間のことです。第3の居場所を持つことで日々の暮らしが楽しくなり、英気を養い、時にはリフレッシュ、癒されることもあるでしょう。利用される方の、その時々に必要な物やコトを提供できる存在でありたいのです。 提供する物やコトは、すべてがフランチャイズチェーン店で展開しています。賑わっている街には、必ず良いチェーン店があります。メニューや店づくりは全国どこも同じでも、接客やサービスには違いがある。言い換えれば、その部分の品質を高めていくことで繁盛店となり、街も活性化、働くスタッフも成長していけると確信しています。 弊社では、フランチャイズチェーン店経営の実績を活かした、フランチャイズ向けコンサルタント業務も行っております。店舗運営や人材活用法などの支援を行い、共に成長し続けられるパートナーとしてお付き合いができればと考えております。 「自分の暮らす街は元気であってほしい。では、元気のためにできることは何だろう?」。そんな小さくとも熱い思いを胸に、大切で大好きな地元に、”第3の居場所”の提供を続けてまいります。

  • 中小企業
株式会社 北陸フードシステムズ