• 公開:2017年09月04日
  • 更新:2022年02月25日

【インタビュー】「富士通はスタートアップに選ばれる会社をめざす」。元エンジニア・徳永奈緒美が語る共創への想い。

富士通株式会社

富士通株式会社
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  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
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富士通が、オープンイノベーションに本気で取り組んでいる。同社が開催するアクセラレータープログラムは既に第4期を迎え、スタートアップとの協業事例が数々と生まれている最中だ。日本を代表するIT企業である富士通が、なぜスタートアップとの協業に力を入れているのか。同プログラムを推進するシニアディレクターの徳永氏に話を聞いてみた。

▲富士通株式会社 マーケティング戦略本部 戦略企画統括部 シニアディレクター(ベンチャープログラム担当) 徳永奈緒美

※関連ページ : スタートアップ向け支援プログラム「富士通MetaArcベンチャープログラム」https://eiicon.net/about/fujitsu/

エンジニア時代に芽生えた、オープンイノベーションの萌芽

——徳永さんがベンチャープログラム担当になるまでのご経歴を教えていただけますか。

もともとはデータベースのエンジニアとして富士通に入社しました。当時はメインフレーム全盛期でしたが、「若い人には新しいことをやってもらおう」と、UNIXを学ぶために私だけサーバを1台与えられて、好きにやっていいと言われたんです(笑)。ですが、当時の勤務地の大阪にはUNIXを知っている人がおらず、東京で開催されていたUNIXのユーザー会に毎週のように参加していました。

そこには学者の人など、いろいろな人が集まっていて、社内のSEだけで語っているのとはまったく違う広がりがありました。そういう人たちに接しているなかで、「会社の中で立ち止まっていると、富士通が終わってしまう!」と危機感を感じたのです。

——元エンジニアというのは意外な経歴でしたが、早速オープンイノベーション的な気づきがあったのですね!

UNIXのことを周囲に知っている人がいないから、話が通じない。上司も知らない。だから、上司の言うことを聞くのは、私には「正しくない」と思えてしまったんですよね(笑)。UNIXに限らず、たとえばOracleにしても富士通の技術ではないわけで。既に存在するものを社内で作る必要なんてない、と当時から感じていました。

——若い時期からその視点を持ってしまうと、富士通の外に出る、という選択肢もあったのではないかと思いますが。

たしかにありました。ですが、日本の大企業の特徴としてジョブディスクリプションの範囲が緩やかなので、富士通の社内にいても、いろいろと自分のやりたいことには挑戦することができました。なので、実はそれほど不満が溜まるということもなかったのです。

エンジニアを経験した後も、事業開発の部門でデジタルマーケティングのサービスを開発したり、ベンチャーとの協業なども経験できましたから。

富士通よりも優れたプロダクトとも、積極的に協業したい。

——なぜ今、富士通がスタートアップとの共創に注力しているのでしょうか。

立ち止まっていると、富士通という会社が停滞してしまう。私個人としても、会社のために新しいことをしたい、という危機感があります。今の時代、自前の技術や製品だけですべてをまかなうことはできない、という考え方は常識になりつつありますが、富士通においても同じことが言えます。

以前、こんなことがありました。富士通がある製品を開発しているときに、別のスタートアップが開発した同様の製品が既に存在していることが分かりました。そこで、厳密に性能の評価をしてみると、少なくともその時点ではスタートアップの製品の方が優秀だった。それで、社内の開発を中断したというエピソードもあります。

——富士通ほどの大企業でその判断は、まさに英断だと思います。

第2期アクセラレータープログラムで出会い、現在協業しているMobingi(モビンギ)さんの例も同様です。AWSの運用コストを下げるプロダクトを提供しているスタートアップなのですが、実は当時、富士通社内でも同様の機能を作ろうとしていました。ですが、既にMobingiさんのプロダクトがあるのだから、と開発を止めて、富士通のソリューションと連携することにしたんです。

——スタートアップと協業するにあたって、重視していることはありますか。

はっきりした目的意識を持っており、そのために「富士通を使う」くらいの積極性を持っているスタートアップとは組みやすいですね。たとえば、IoTを活用したビル設備監視システムで協業中のスタディストさんという企業の場合、協業にあたって最初に実証実験を行ったのですが、協業モデルも実証実験を行う企業もスタディストさんが提案してくれました。新しい市場は最初はニッチで大企業だと踏み込みにくいものですが、柔軟に動いていただき、こちらとしても協業しやすかったです。

逆に、すごく良い技術を持っていても、正直それだけでは判断しにくいところもありますね。事業部サイドから見ても、製品になっていないところに大きく投資するのは難しいです。

——事業部の話が出てきましたが、大企業の場合、社内の連携で苦労している人も多いと思います。そういった方にアドバイスはありますか。

社内のキーマンとの信頼関係の構築が大きなテーマです。そのためには自分のキャラクターを立たせること。私の場合、富士通での社歴も長いし、オープンイノベーションや新規事業にずっと関わってきたというキャラクターがありますから。向こうから相談が舞い込んでくることもあります。とはいえ、普段からいろいろな場面で相談に乗ったりと、関係性を築いておくことも大切ですね。

——社外へのコミュニケーションについてはいかがでしょうか。

ベンチャーフレンドリーとでも言うんでしょうか。外に対して溶け込んでいく必要性があります。「富士通がスタートアップに求めていること」をあらかじめ準備しておき、具体的な協業を想像してもらえるようにしないといけません。そして、発信を続けていくこと。イベントなどにもチームメンバはみんな、こまめに顔を出すよう、頑張っていますよ。

スタートアップに選ばれる会社であるべく、貢献度合いを高めていく。

——ベンチャープログラムの今後のビジョンについて教えてください。

もともとの富士通のアクセラレータープログラムの目的のひとつとして、社内のファンドを活性化させるために始まりました。まずシナジーを作って、投資につなげるサイクルを作ることを目的に続けてきましたが、スタートアップと協業できる体制は徐々に構築できてきたと感じています。

今は、「スタートアップを選ぶ」のではなく、「スタートアップに選ばれる」ことが大切です。そのため、富士通も選ばれる存在になれるよう、スタートアップへの貢献度合いをもっと高めていきたいと思います。今後はよりステージの若いところへのコミュニケーションも増やしていきたいです。

また、今年度は富士通と協業できるスタートアップを100社にしたいという目標を立てています。富士通から積極的に協業テーマを発信するなど、これまで以上に富士通からアクティブにスタートアップへアプローチしていく予定です。

——徳永さんご自身は、ベンチャープログラムのご担当としてどのようなモチベーションを持っていますか。

純粋に新しい事業を興したい、という気持ちはもちろんですが、単純にエネルギーのある人と一緒にやるのは楽しいんですよね。そういう人のエネルギーにずっと当たっていたいなと。

具体的な協業に結びつくかどうかに関わらず、プログラムの後も個人的につながりが持てたり、プログラムの卒業生同士で集まって人材探しをしていたりするのも、こちらとしては嬉しいですよね。濃いコミュニケーションは今後も増やしていきたいと思います。

取材後記

新卒で富士通に入社後、エンジニアとして社会人の第一歩を踏み出したという、意外なキャリアを持つ徳永氏。インタビューの中で注目すべきは、「立ち止まっていると、富士通という会社が停滞してしまう。私個人としても、会社のために新しいことをしたい」という言葉だ。停滞に対する大きな“危機感”が、徳永氏のモチベーションの一つになっているといえるだろう。

さらに、大企業においてオープンイノベーションを推進するための重要な点は、「社内のキーマンと信頼関係を構築するためにキャラクターを立たせること」と語ってくれた。事実、イベントやメディア取材などで徳永氏を見かける機会は少なくない。出る杭は打たれがちな日本社会ではあるが、そういった逆境をはね返しながら、「共創」の事例を着実に残している徳永氏の行動・思考から学ぶことは多いはずだ。

(構成:眞田幸剛、取材・文:玉田光史郎、撮影:加藤武俊)


選択しているビジネス領域の企業

大日本印刷株式会社

創業から140年、出版事業から発展し、包装事業・マーケティング、電子デバイス製造や、高度な情報処理技術を必要とする医療分野など、様々な領域に事業を拡大するDNP。 ありとあらゆる業界のクライアントとビジネスを展開してきたDNPだからこそ、創り出せる価値がある。 幅広くビジネスを展開する中で、直面してきた社会課題や生活者視点でのニーズに対して、共創を通じて本気で解決していくことを目指す取り組み「DNP INNOVATION PORT」。 DNPは、イノベーション創造を加速するため、2つの仕組みを用意。 実現したい未来に向けて、社外のパートナー企業とプロジェクト単位で共創を目指す「CO - CREATION」。 今回は、食品ロス・環境問題・コンテンツと3つのプロジェクトを設定。 同じく生活者視点で新たな価値創出を目指すスタートアップに対して、 DNPが培ったアセットを提供し、ビジネスの拡大を支援する「ASSET SUPPORT」。 オープンイノベーションにより、既成概念に捉われず、新たな価値創出の手法・新たなビジネススタイルを作り上げ、第三の創業へと導いていくことを目指します。 生活者視点で、共に新たな価値創出を目指す、パートナー企業をお待ちしています。 ■DNP INNOVATION PORT https://www.dnp-innovationport.com

  • プロダクト(製品)共同開発
  • 共同研究
  • リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
  • 既存プロダクト改善(生産プロセス・製品性能・システム)
  • 事業提携
  • ジョイントベンチャー設立
  • ネットワーキング
  • 新市場の模索
  • 大手企業
  • 上場企業
大日本印刷株式会社

JR東日本スタートアップ株式会社

【JR東日本と未来のビジネスをつくるプログラム】駅・鉄道を中心に、人々の暮らしを支えてきたJR東日本。様々な人が利用する駅を起点に、これからの街・暮らし・地域の未来をつくっていきたい。 ――JR東日本グループのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)である当社は、スタートアップとJR東日本グループの様々な部署の共創によって、新たなビジネスやサービスの実用化を目指す「JR東日本スタートアッププログラム」を実施・運営してきました。そして、2020年度も本プログラムを継続させ、新たなパートナー企業を募集します。 過去3回のプログラムでは、地域の駅を宿泊施設に変え、新幹線で鮮魚を運び、コンビニを無人化するなど、未来つながる、幅広い協業プランを生み出してきました。プログラム後も、スピード感ある実装力、強固な共創体制で事業化を目指し、次々と取り組みを進めています。 今回は、『地方創生』、『観光・インバウンド』、『スマートライフ』をテーマに様々なJRグループの資源を活用し、ビジネスアイデアから一緒に考え、実装していきたいと考えます。ともに未来をつくるアイデアを、お待ちしております。 【過去3回のJR EAST STARTUP PROGRAMを通じたスタートアップとの共創実績】・スピード感:実証実験の実施数57件 ・ビジネス実装力:実用化したサービス20件 ・強固な共創体制:資本業務提携数16社。合弁会社設立1社。

  • 出資したい
  • プロダクト(製品)共同開発
  • 共同研究
  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
  • 既存プロダクト改善(生産プロセス・製品性能・システム)
  • 事業提携
  • ジョイントベンチャー設立
  • 大手企業
  • 上場企業
JR東日本スタートアップ株式会社

株式会社デジタルガレージ

【これまでに100社以上を支援してきたデジタルガレージ】デジタルガレージは、日本初のアクセラレータープログラム、Open Network Labを運営し、これまでに100社以上のスタートアップを支援してきました。共同創業者で、MITメディアラボ所長を務める伊藤穰一氏もアドバイザーとして参画し、シリコンバレーを中心とする一流の投資家や起業家によるメンタリングにより、世界を目指す起業家をサポートしています。今回新たに住宅や暮らしといった領域のスタートアップを対象にしたアクセラレータープログラム「Open Network Lab Resi-Tech」をスタートさせました。 【不動産・建設・ライフライン業界大手7社が参画するコンソーシアム型プログラム】IoTによって全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、 今までにない新たな価値を生み出すことのできる時代。ライフスタイルの多様化・都市構造の高度化により、「オフィス」と「住宅」、「都心」と「住宅地」などの境目はなくなり、新たなイノベーションが求められることが予想されます。 一方、「エネルギー問題・環境意識の高まり」「グローバル化の進行」など、暮らしを取り巻く社会課題は山積みとなっています。 そこで、私たちは業界全体を変革させるイノベーションを起こすべく、 不動産・建設・ライフライン業界を牽引するパートナーとともに発足させたのが、「Open Network Lab Resi-Tech」です。

  • 出資したい
  • プロダクト(製品)共同開発
  • 共同研究
  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
  • 既存プロダクト改善(生産プロセス・製品性能・システム)
  • 事業提携
  • プロジェクト・イベント型(期間限定)での協業
  • 大手企業
  • 上場企業
株式会社デジタルガレージ

株式会社KDDI総合研究所

【調査分析から研究開発、実用化までを一気通貫。未来社会に必要となる世界屈指の次世代技術を創出する研究所】KDDIグループにおいて、研究開発機能とシンクタンク機能を持ち、未来社会に必要となる世界屈指の次世代技術を創出するKDDI研究所。 5G時代の到来、深層学習によるAI技術の進歩、自動運転技術の進化など、人々の価値観や暮らし方が多様化し、身の回りの生活からビジネスを急速な勢いで変革しています。私たちは、地球上のあらゆる地域を最良の通信手段で結ぶ、コミュニケーション社会の実現に向け、新しい技術に挑戦し続けます。そのために調査分析から研究開発までをシームレスに進め、次世代技術の開発、未来予測の一層の強化を、広くスピーディーに展開しています。 【世界トップレベルの次世代技術を活用し、共同研究により社会課題の解決を目指す。】KDDIグループでは、∞Labo やCVC等、これまで様々なオープンイノベーションを実践し、パートナー企業と共に事業を創ってきました。今回、共同研究・共同開発を軸としたオープンイノベーションプログラムを開始いたします。研究所には約300名の研究者が横断的に連携しています。研究所ならではの専門性・設備力を活かし、フィールドでの実証も積極的に進めていきたいと考えています。世界に誇るKDDIの技術を活用し、実社会に広がるビジネスをパートナー企業と共に創っていきたい。新たな時代を共に築いていきましょう。 ◆今期の応募は締め切りました◆ ※プログラムスケジュール 8月28日 募集開始 10月15日 募集締切 10月下旬 応募資料をもとに書類選考 11月中旬 面談(面談を行う法人については11月上旬までに連絡し、面談の日程を調整) 11月中  共同研究先を選定し、共同研究を順次開始 ◆今期の応募は締め切りました◆

  • プロダクト(製品)共同開発
  • 共同研究
  • リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
  • ラボ設立
株式会社KDDI総合研究所

SAPジャパン株式会社

【ERPソフトウェア世界市場シェア1位を誇るSAPが仕掛けるプログラムが日本上陸】企業経営の根幹を支えるヨーロッパ最大級のソフトウェア会社であるSAP。 企業のビジネスプロセスの最適化とイノベーションを実現するインテリジェントソリューションを求め続ける中で、エコシステムの構築によるさらなる価値提供を目的とし、スタートアップのビジネス実装を支援するプログラム「SAP.iO Foundry」を世界8都市で展開。 これまでにサンフランシスコ、ベルリン、ニューヨーク、パリ、テルアビブ、ミュンヘン、シンガポールの各都市で実績があり、年間50以上(累計200社)のスタートアップを支援してきた「SAP.iO Foundry」が、2019年に日本に上陸。 【B2B/エンタープライズへのビジネス実装を目的とした“実践型”アクセラレータープログラム】インキュベーションを目的としたスタートアップ支援ではなく、「どうすれば、B2B/大企業の顧客へビジネス実装できるか」にシンプルにフォーカスした“実践型”のアクセラレータープログラム。 企業経営の基幹を支えてきたからこそ、顧客のリアルな事業データ・業務オペレーションまで熟知しているSAP。 顧客との深い関係性をもつSAPだからこそ知りえる、大企業のリアルなニーズを踏まえた共同提案やPoCの機会、大企業向け営業戦略やマーケティング、プライシングまで本プログラムでしか聞けない実践ノウハウが詰まったワークショップを実施。 また、営業本部長クラス・グローバルのSAPプロダクト技術責任者等のキーマンも参加するメンタリングなど、充実した3か月間の短期集中プログラム。 今回日本で2回目の開催となる「SAP.iO Foundry Tokyo 2020 Spring Cohort Program」募集期間は2020年1月20日まで。採択後、2020年3月から6月まで支援プログラムを実施。 プログラム詳細・応募はこちらから→https://www.f6s.com/sap.io-foundrytokyo-industry4.0-2020/apply

  • プロダクト(製品)共同開発
  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
  • プロジェクト・イベント型(期間限定)での協業
  • 新市場の模索
  • 大手企業
  • 外資系企業
SAPジャパン株式会社